
「ロックミシンって、やっぱり必要ですか?」というご質問を、福岡でミシンの修理・販売をしている当店もよくいただきます。布端の始末がきれいになるのは確かですが、作るものによっては手持ちの家庭用ミシン1台で十分なこともあります。この記事では、ロックミシンが必要な人といらない人の見分け方、種類の選び方、買ったあとに続く手入れの手間まで整理します。
ロックミシンとは?家庭用ミシンとは役割が違う
ロックミシンは、家庭用ミシンの上位機種ではありません。役割そのものが別のミシンです。ブラザーの公式サイトにあるソーイング情報ページでは、ロックミシンについて「裁ち目かがり専用のミシンです」と説明されています。ロックミシンメーカーのベビーロックの公式サイトでも、ロックミシンは「メスを使って布端をカットしながら糸でくるむように始末をしていきます」と紹介されています。
同じベビーロックの解説では、ロックミシンは「家庭用・職業用ミシンを補完するミシン」と位置づけられています。つまり、直線縫いやボタンホール、模様縫いといった家庭用ミシンの役割を置き換えるものではなく、布端の始末と伸縮素材の縫い合わせを担当する2台目、という考え方が基本になります。同じページには「ロックミシンだけでつくれる洋服もあります」との記載もありますが、家庭用ミシンや職業用ミシンと組み合わせることでソーイングの幅が広がる、という位置づけです。
「1台目をどうするか」で迷っている段階なら、まずは家庭用ミシンの選び方|電動・電子・コンピューターの違いをご覧ください。直線縫いをもっときれいにしたいという方向けには職業用ミシンと家庭用ミシンの違いも整理しています。
ロックミシンが必要な人の3パターン
1. ニット・カットソーを縫いたい人
いちばんはっきりしているのがこのケースです。前述のブラザーの解説では「3本糸以上のロックミシンは、2枚の生地をぬい合わせながら裁ち目をかがることができます」「ロックミシンのぬい目は伸びるため、Tシャツなどの伸縮素材をぬい合わせる時にも使うことができます」と説明されています。ベビーロックの公式サイトでも、ほとんどのニット製品は2本針4本糸のロックミシンで縫い合わされている、と紹介されています。Tシャツやスウェット、レギンスなど伸びる生地の服づくりを本格的にやりたいなら、ロックミシンの出番です。
2. 作る量が多い人・長い距離を縫う人
ブラザーの解説では、ロックミシンは「家庭用ミシンの裁ち目かがりよりスピーディーに生地端の処理ができる」ため、洋服作りで長い距離を縫うときや作品をたくさん作るときに便利だとされています。同じページでは、入園入学グッズの袋ものもロックミシンで裁ち目をかがれば裏地つけが不要になる、という使い方も挙げられています。年に数点ではなく、毎月のように何かを作っている方なら、端の処理にかけている時間がそのまま短くなります。
3. 仕上がりを既製品に近づけたい人
手作り感を抑えたい、裏側まできれいにしたい、という方にも向いています。ブラザーの解説では、首元や袖、裾の生地端を細く巻き込むように処理する「メロー仕上げ」も、ロックミシンでできることとして紹介されています。仕上がりの見た目にこだわるほど、専用機との差は出やすくなります。
ロックミシンがいらない人=家庭用ミシン1台で足りる場合
一方で、次のような使い方が中心なら、急いで買い足す必要はありません。
- 作るのは布帛(織物)の小物やバッグ、入園入学グッズが中心
- 布端はジグザグ縫いや裁ち目かがり縫い、三つ折り始末で足りている
- ミシンを使うのは年に数回で、まとめて作ることはない
- 置き場所が限られていて、2台目を常に出しておけない
ジャノメの公式サイトでも、ロックミシンの説明の中で「かがり縫いは普通のミシンでもジグザグ縫いでできますが、仕上がりの美しさとスピードは専用機ならではです」と書かれています。つまり、家庭用ミシンでも布端の始末そのものはできて、差が出るのは仕上がりの美しさと速さだということです。ここに不満がなければ、まだ必要な段階ではないと考えてよいでしょう。
判断に迷ったときは、いま自分がどこで手間取っているかを思い出してみてください。「端の処理に時間がかかる」「ジグザグでは布端が波打つ」「ニットが縫えずに諦めた」が当てはまるなら必要側、そうでなければ今のミシンの調子を整えるほうが先です。
買うなら糸の本数で選ぶ|1本針2本糸・3本糸・2本針4本糸
ロックミシンは、使う針と糸の本数で種類が分かれます。ブラザーの解説では、主な種類とできることが次のように整理されています。
- 1本針2本糸…裁ち目かがり専用
- 1本針3本糸…裁ち目かがりや伸縮素材の合わせ縫い(インナー向け)ができる
- 2本針4本糸…裁ち目かがりや伸縮素材の合わせ縫い(アウター向け)ができる
ベビーロックの公式サイトでは、布帛で洋服やバッグを作り、縫い合わせは家庭用ミシンで、布端のかがり縫いだけロックミシンを使いたいという方には1本針3本糸をすすめています。同じページでは、2本針4本糸は針を1本外すことで1本針3本糸に設定することも可能だと説明されています。また、1本針3本糸でもニットを縫い合わせることはできるものの、厚地を縫い合わせるときや生地の伸び縮みが激しい箇所では少し強度が足りない場合もある、とも書かれています。つまり、まずは布端の始末が目的なら1本針3本糸から始める選び方も、ニットを本格的にやるつもりで最初から2本針4本糸にしておく選び方も、どちらもあり得ます。
もうひとつ知っておきたいのが、袖口や裾のステッチは別のミシンだということです。ジャノメの公式サイトでは、ロックミシンの仲間として、カットソーの袖口や裾、襟元に使われる既製品のような縫い方ができる「カバーステッチミシン」があると紹介されています。ベビーロックの公式サイトによると、オーバーロックとカバーステッチの両方の機能が使えるミシンもあり、これは複合機と呼ばれます。裾上げまできれいにしたいのか、布端の始末だけでよいのかで、選ぶ機種が変わります。
なお、ブラザーの解説にも「機種・メーカーにより、機能や呼称が異なる場合があります」と注記があります。ここで挙げた区分は目安として、最終的にはカタログや取扱説明書でその機種の仕様をご確認ください。
買う前に知っておきたい「続けるための手間」
ロックミシンは、家庭用ミシンと同じ感覚で使い始めると戸惑いやすいミシンでもあります。購入前に次の3点を知っておくと、後悔が少なくなります。
糸かけが複雑
ブラザーの解説では、ロックミシンのぬい目は裁ち目をかがる糸(ルーパー糸)と生地をぬい合わせる糸(針糸)の複数の糸でできているため、家庭用ミシンよりも糸かけが複雑だと説明されています。糸通しがしやすい機種、糸調子が自動で調整される機種を選ぶと、はじめての方でも扱いやすくなります。
布くず・ホコリが出る
同じくブラザーの解説では、ロックミシンは布端をカットしながら同時にかがり縫いをするので、細かいゴミが溜まりやすいとされています。掃除をするときは、必ず電源を切り、電源プラグをコンセントから抜いてから行ってください。ロックミシンは刃(メス)を備えた機械ですので、電源が入ったまま内部に手やブラシを入れるのは危険です。そのうえで、縫っているときに出る布切れや糸くずを受けるトリムボックスのほか、内部に溜まるホコリはブラシやエアダスターを使って掃除をする、という案内もあります。なお、これはロックミシンについての案内です。家庭用ミシンの釜まわりは、付属のブラシや綿棒でホコリを払うのが基本で、掃除機で強く吸ったり口で吹いたりするのは避けてください。日常の掃除や注油の考え方はミシンのメンテナンス方法|掃除・注油の正しいやり方と頻度でも紹介していますので、あわせてご覧ください。
メスで生地を切ってしまう失敗
ロックミシンは布端を切りながら縫い進めます。ブラザーの解説でも、メスで余分なところを切ってしまわないよう、縫う部分以外の生地を巻き込まないように注意する、とコツが挙げられています。慣れるまでは端切れで練習してから本番に入ると安心です。
調子が悪いときは福岡のミシン専門店にご相談を
糸調子が合わない、縫い目が飛ぶ、布の送りが不安定——こうした症状は、糸かけや設定を見直しても直らないことがあります。長く使っているミシンでは、内部のホコリの堆積や部品の摩耗が原因になっているケースも少なくありません。使い方の問題か本体の問題かを切り分けるところが、ミシン専門店の仕事です。
みしんライフ筑紫野店は、修理歴20年・成功率90%で、ブラザー・JUKI・ジャノメ・シンガー・baby lockなどメーカーを問わず修理いたします。通販で購入されたミシンもお受けしています。店主の経歴や修理への考え方は代表挨拶のページでご紹介しています。出張修理は筑紫野市・太宰府市・春日市・福岡市をはじめ、福岡県内全域に対応しています。
「買い足すべきか、いまの1台を調整して使うべきか」で迷っている段階のご相談も歓迎です。症状やお使いの機種をお聞かせいただければ、判断の材料をお伝えします。お問い合わせフォームやお電話、LINEからお気軽にどうぞ。




